후리가나로 읽는 일본 고전
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
山本 周五郎의 五瓣の椿(ごべんのつばき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 149,721자 · 296화면
なぜなら、あたしは「罪を犯してはいない」からであった。
あの女中に「おりうさん」と呼ばれたときだけ、あたしは罪というものを感じた。それも、蝶太夫や得石を殺した、ということに罪を感じたわけではない。決してそうではない、それとはまったくべつの、なんと云ったらいいかしら、――わからない、なんと云いようもない。あなたはおりうさんではないか、とあの女中の云った言葉のなかに、罪を感じさせるものがあったような気がする。
そうよ、あたしは「決して」罪を犯しはしなかった。あれが人殺しであり、罪であるのなら、自分でそれを感じない筈はない。濡れた着物を着れば、冷たさときみ悪さを感じない者はないだろう。まして、人の命をちぢめるということは、濡れた着物を着るなどという譬えとは、比較もできないほど怖ろしく重大なことだ。
――それなのにあたしは、爪の先ほども罪を感じていない、女中に呼びかけられたあの、ごく短いいっときのほかは……。
――初めて蝶太夫を殺したとき、あたしのからだに二つの反応があった。一つは嘔吐したこと、もう一つはあれだ。裸にして寄り添って、教えられたとおり、左の乳の下をさぐり、そこへ釵の尖を当ててから、あたしは力をこめて、両手でそれを刺し込んだ。