후리가나로 읽는 일본 고전
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
山本 周五郎의 五瓣の椿(ごべんのつばき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 149,721자 · 296화면
仮にまた料理茶屋へ呼びつけたとしても、この広い江戸市中ぜんたいに手を打つことは不可能である。
「一昨日の晩思いきって挙げればよかった」そう呟いて、彼はくっと首を振った、「ぐちはよせ、問題はこれからどうするかだ、香屋の道楽息子は諦めよう、どうしたらあの娘を押えることができるか」
彼の歩調はゆるくなり、堀に沿った片側町を、暫く黙って歩いていった。それから、江戸橋と思われる橋を渡ったとき、道傍によたか蕎麦が荷をおろして、釜下の火を煽ぎながら、湯を沸かしているのを見た。ちょっと見ただけで通り過ぎたが、一丁ばかりいってからふと立停り、じっと夜空を見あげた。
――むさし屋。
よたか蕎麦の行燈に「べんけい」と書いてあった。なにげなく見て通ったのだが、弁慶という字から連想がうかんだのであろう。彼はそのとき初めて、親子三人の焼死、という出来事を思いだした。
「亀戸のほうの寮で、両親と娘が焼け死んだ、慥かそんな事だったな」歩きだしながら彼は声に出して云った、「――うろ覚えだが、母親と娘は達者だった、父親は病気で危篤だったが、母と娘はまったく丈夫だった、それがどうしていっしょに焼け死んだか不審だと、云っているのを聞いた」