후리가나로 읽는 일본 고전
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
国枝 史郎의 八ヶ嶽の魔神(やつがたけのまじん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 160,664자 · 323화면
星さえ見えぬ大空を嵐ばかりが吹いていた。湧き立つ浪は鬣を乱した白馬のように崩れかかり船を左右にもてあそんだ。俺と夏彦とは二人きりで船の船首に突立ちあがり、互いに白刃を抜き合わせ思うままに戦った。天運我にあったと見え、颯と突いた突きの一手に夏彦は胸の真ん中を刺され帆柱の下に倒れたが、そのまま呼吸は絶えてしまった。――十四年という永い年月互いに怨んだその怨みはこうしてとうとう晴らされたのだ。そうして俺は夏彦の首級を手に提げて帰って来た。そして今ここに立っている。……ここにこうして立ちながら一人の女を待っているのだ。俺の許婚柵の現われて来るのを待っているのだ。さて、島太夫お前に命ずる。早く柵を連れて来い」
「…………」
五
「何も恐れることはない。何も憚ることはない。十四年ぶりで城の主が腰に血染めの剣を佩き、手に敵の首級を持ちその首級を女に見せようと思って約束通り帰って来たのだ。さあ柵を連れて来い! 島太夫、柵にこう云ってくれ。……戦いに倦きた宗介が生血に倦きたこの俺が美しい許婚に邂逅って恋の甘酒に酔いしれたくそれで帰って来たのだとな。そしてまたこうも云ってくれ、そなたの恋人の夏彦を大事にかけて連れて来たとな、その夏彦は世にも穏しく笑いもせず物も云わずただ悲しそうに無念気に黙っていると云ってくれ。