후리가나로 읽는 일본 고전
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
国枝 史郎의 八ヶ嶽の魔神(やつがたけのまじん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 160,664자 · 323화면
身の長天井へ届くと見えたが、これはもちろん錯覚である。
二人は眼と眼を見合わせた。
「小僧推参!」
と忍び音に、久田の姥は詈ったが、右手に振り袖をクルクルと巻くと高く頭上へ差し上げた。すなわち彼女の慣用手段、眠りを誘う催眠秘術、キリキリキリキリと廻し出す。
あわやまたもや葉之助は、恐ろしい係蹄へ落ちようとする。
と、奇蹟が現われた。
平安朝型の長槍が、すなわち窩人の守護本尊宗介天狗の木像から借り受けて来た長槍が、葉之助の意志に関係なく自ずとグルグル廻り出した事で、頭上に翳した妖婆の手が左へ左へと廻るに反し、右へ右へ右へと廻る。すなわち彼女の催眠秘術を突き崩そうとするのである。
葉之助は驚いたが、それにも増して驚いたのは実に久田の姥であった。
彼女はじっと槍を見た。見る見る顔に苦悶が萌し、眼に恐怖が現われたが、突然口から呻き声が洩れた。
「宗介の槍! 宗介の槍! ……おおその槍を持っているからは、汝は窩人の一味だな!」
しかし葉之助は返辞さえしない。ジリジリジリジリと突き進む。それに押されて久田の姥は一足一足後へ退がる。
やはり二人は睨み合っている。
頭上に高く翳ざしていた久田の姥の右の手が、この時にわかに脇へ垂れた。