후리가나로 읽는 일본 고전
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ひみつ
刺青・秘密
谷崎 潤一郎
谷崎 潤一郎의 刺青・秘密(ひみつ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 32,935자 · 66화면
もう私はその家の前まで来た。縄暖簾の中を透かして見ると、やっぱり私の思った通り、お母さんが後向きになって手拭を姐さん冠りにして竈の傍にしゃがんでいる。そうして火吹竹を持って、煙そうに眼をしばたたきながら、頻りに竈の下を吹いている。其処には二三本の薪がくべてあって、火が蛇の舌のように燃え上る度毎に、お母さんの横顔がほんのりと赤く照って見える。東京で何不足なく暮していた時分には、ついぞ御飯なぞを炊いたことはなかったのに、さだめしお母さんは辛いことだろう。………ぶくぶくと綿の這入った汚れた木綿の二子の上に、ぼろぼろになった藍微塵のちゃんちゃんを着ているお母さんの背中は、一生懸命に火を吹いているせいか、傴僂のように円くなっている。まあいつの間にこんな田舎のお媼さんになってしまったんだろう。
「お母さん、お母さん、私ですよ、潤一が帰って来たんですよ」
私はこう云って門口のところから声をかけた。するとお母さんは徐かに火吹竹を置いて、両手を腰の上に組んで体を屈めながらゆっくりと立ち上った。
「お前は誰だったかね。お前は私の忰だったかね」
私の方をふり向いてそう云った声は、あの古沼の蓮の音よりももっと皺嗄れて微かである。