후리가나로 읽는 일본 고전
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じゅうごねん
十五年
山本 実彦
山本 実彦의 十五年(じゅうごねん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 8,158자 · 17화면
教授は音楽が好きであった。ベルリンからヴァイオリンを携えて日本に来朝したのであったが、日本内地を旅行中も、夕食後の気もちのいい時などには私などを慰める意味もこもっていたであろうが、ときどき提琴をきかさるるときがあった。私はそのとき、あの大きな頭や、あのふくよかな顔をつくづく見入るのであったが、その瞬間ほど教授にとりて幸福な時間はないようであった。すべてを打ち忘れ、あらゆるものを超越し、身の苦悩も、身の海外万里の地にあるのも打ち忘れて満身法悦にひたっているように見られたのであった。
私は、教授の思想と、夫人との思想的立場が、どうであろうかはもちろん知るによしなきことではあるが、しかし、夫人を愛するというよりは、いたわりつつむ至人的の態度にも打たれたのであった。
夫婦の地位、教養の距たりは、ともすれば一方を侮蔑するがような、もしくは、心の窓を三分の一も展かないようなものが有識者には殊に多いのに、この人を知り、その夫人を知って、教授の心の領域が聖者にも近いものがあると私は感じたのであった。教授の宇宙を越え得べき精神思索、理想探求の奥は窺うこともできない私ではあるが、そのポツリ、ポツリ話し出す言葉を、私は、あたかもロダンの芸術にでも接するように、むさぼり味わったのであった。