후리가나로 읽는 일본 고전
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せんにんばり
千人針
寺田 寅彦
寺田 寅彦의 千人針(せんにんばり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 1,835자 · 4화면
上野広小路の喫茶店へはいった。年若い芸者を二人連れた若旦那の一組がコーヒーをのんでいる。その前に女学生が二人立っている。二人の芸者はそれぞれ一つずつ千人針の布片を手にもったままで女学生と何かしら問答している。千人針が縁となってここに二つのかなり遠くかけはなれた若い女の世界が接近して、互いにいくらか物珍しい興味をもって交渉しているのである。若旦那も時々助太刀に出かける。それが大変に丁寧な言葉を遣っているのに対して女学生の言葉が思いの外にぞんざいである。問答ばかりでなかなか容易には肝心の針の方に手が行かない。対話の末に、今日の四時何十分とかに出発する人々に贈るのだということがわかってからやっと針が動き始めて間もなく出来上がった。その前にそこの給仕の少女等にも縫ってもらったのだと見えて、これにも礼を云ってさっさと出て行った。若旦那が、僕は御役に立たないがせめても、といったようなことを云って、そうして「万歳」と云って片手を上げた。それはとにかく、この場合はたった二針縫ってもらうのに少なくも十分はかかったようであった。四時何十分の汽車に間に合ったかどうか、それは知るよしもない。