후리가나로 읽는 일본 고전
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ちくまがわのスケッチ
千曲川のスケッチ
島崎 藤村
島崎 藤村의 千曲川のスケッチ(ちくまがわのスケッチ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 81,668자 · 164화면
間もなく私達は牧夫に伴われて、この番小屋を出た。牧夫は、多くの牛が待っているという顔付で、手に塩を提げて行った。途次私達に向って、「この牧場は芝草ですから、牛の為に好いです」とか「今は木が低いから、夏はいきれていけません」とか、種々な事を言って聞かせた。
ここへ来て見ると、人と牛との生涯が殆んど混り合っているかのようである。この老爺は、牛が塩を嘗めて清水を飲みさえすれば、病も癒えるということまで知悉していた。月経期の牝牛の鳴声まで聞き分ける耳を持っていた。
アケビの花の紫色に咲いている谷を越して、復た私達は牛の群の見えるところへ出た。牧夫が近づいて塩を与えると、黒い小牛が先ず耳を振りながらやって来た。つづいて、額の広い、目付の愛らしい赤牛や、首の長い斑なぞがぞろぞろやって来て、「御馳走」と言わないばかりに頭を振ったり尻尾を振ったりしながら、塩の方へ近づいた。牧夫は私達に、牛もここへ来たばかりには、家を懐しがるが、二日も経てば慣れて、強い牛は強い牛と集り、弱い牛は弱い牛と組を立てるなどと話した。向うの傾斜の方には、臥たり起きたりして遊んでいる牛の群も見える……