후리가나로 읽는 일본 고전
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ふるきミニエチュア
古き小画
宮本 百合子
宮本 百合子의 古き小画(ふるきミニエチュア)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 70,298자 · 140화면
ルスタムは、ぶらぶら歩きながら、幾度となくその方を眺めた。一度眼が其方に向くと、容易に引はなされなかった。明りはルスタムの心に、だんだん光明を増し、誘惑の力を増した。全く、ルスタムはその篝火の色や、静かに反映している天幕の面を視ると、もっと近くもっとよく其処にいる者、あの兜の男を見極めたい慾望が、制し難く募って来るのを感じた。ひっそりした天地の間に輝くその光は、時々ぱっと揺れ、燃え立ちながら、溢れるような囁きで、「一寸今の間に、よい時ではないか。来て覗け!」と誘っているようにさえ思われる。ルスタムは、何か巨大な磁石で自分の体の其方に向っている半面が、ぐいぐい引きつけられるような危さを感じた。
彼は、それに抵抗しようとするように、努めて、其方に背を向けた。そして、四五間元来た方に引返えしかけた。が、彼はぴたりと立停った。闇に浮き上って見える纏布の頭を重く垂れて、何か考えた。――再びルスタムは、ツランの陣に向って立った。彼は、せかない足どりで、最前線に燃火を囲んでいる哨兵の一団のところへ行った。彼は、其処で一本の軍用棍棒を借りた。それを持ってルスタムは、誰の眼にもふれない曠野の真中に出て行った。