후리가나로 읽는 일본 고전
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めいじんでん
名人伝
中島 敦의 名人伝(めいじんでん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 5,782자 · 12화면
紀昌は慄然とした。今にして始めて芸道の深淵を覗き得た心地であった。
九年の間、紀昌はこの老名人の許に留まった。その間いかなる修業を積んだものやらそれは誰にも判らぬ。
九年たって山を降りて来た時、人々は紀昌の顔付の変ったのに驚いた。以前の負けず嫌いな精悍な面魂はどこかに影をひそめ、なんの表情も無い、木偶のごとく愚者のごとき容貌に変っている。久しぶりに旧師の飛衛を訪ねた時、しかし、飛衛はこの顔付を一見すると感嘆して叫んだ。これでこそ初めて天下の名人だ。我儕のごとき、足下にも及ぶものでないと。
邯鄲の都は、天下一の名人となって戻って来た紀昌を迎えて、やがて眼前に示されるに違いないその妙技への期待に湧返った。
ところが紀昌は一向にその要望に応えようとしない。いや、弓さえ絶えて手に取ろうとしない。山に入る時に携えて行った楊幹麻筋の弓もどこかへ棄てて来た様子である。そのわけを訊ねた一人に答えて、紀昌は懶げに言った。至為は為す無く、至言は言を去り、至射は射ることなしと。なるほどと、至極物分りのいい邯鄲の都人士はすぐに合点した。弓を執らざる弓の名人は彼等の誇となった。