후리가나로 읽는 일본 고전
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めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
国枝 史郎의 名人地獄(めいじんじごく)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 149,286자 · 301화면
何に対しても興ずることのない、退屈し切ったいつもに似ず、今夜は馬鹿に面白がるではないか」「それがさ、今もいった通り、今夜に限って甚三の歌が、ひどく違って聞こえるからだ」「いつもとどこが違うかな?」「鬱していたのが延びている。燃えていたのが澄み切っている。蟠まっていたのが晴れている。いつもは余りに悲痛だった。今夜の唄い振りは楽しそうだ。心に喜びがあればこそ、ああいう歌声が出て来るのだろう。めったに一生に二度とは来ない、愉快な境地にいるらしい」「ふうん、そんなに異うかな。どれ一つ聞いて見よう」
造酒は碁石を膝へ置き、首を垂れて聞き澄ました。次第に遠退き幽かとはなったが、なお追分は聞こえていた。節の巧緻声の抑揚、音楽としての美妙な点は、武骨な造酒には解らなかった。しかしそれとは関係のない、しかしそれよりもっと大事な、ある気分が感ぜられた。しかも恐ろしい気分であった。造酒はにわかに立ち上がった。
「観世、行こう。すぐに行こう」そういう声はせき立っていた。
「これは驚いた。どうしたのだ?」
「どうもこうもない捨てては置けぬ。行ってあの男を助けてやろう」「ナニ助ける? 誰を助けるのだ?」