후리가나로 읽는 일본 고전
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ぼちてんぼうてい
墓地展望亭
久生 十蘭
久生 十蘭의 墓地展望亭(ぼちてんぼうてい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 46,485자 · 93화면
停車場へ行くのかと思っていると、そこを右に折れて、人家のまばらな郊外の方へ出て行く。これで、もう、一時間も、走りつづけているのだった。
岩山の裾を廻ると、はてしもない黒い原野が、眼の前に展けてきた。
とつぜん、自動車が停った。
肩幅の広い、武骨なようすをした運転手が、自動車の扉を開けると、竜太郎の旅行鞄を車からひき出し、それを、泥濘の上へおいた。
「ここで、お降り願います」
竜太郎は、呆気にとられて、その顔を眺めていた。
運転手は、もう一度繰り返した。
「ここでお降り願います」
その声の調子のなかに、抵抗しがたい、強圧するような調子があった。竜太郎は、車から降りた。
竜太郎を車から降ろすと、自動車は、赤い尾灯を光らせながら、いま来た方へ走り去ってしまった。
竜太郎は、鞄の上に腰をかけて、改めてこの荒漠たる風景を眺めわたした。月もなく星もなく、ただ一面に黒々とした、空寂な世界だった。こんな暗い荒野に、ひとり、ぽつんと投げ出されては、どうしよう術もなかった。この道は、たぶん国境のほうへ通じてるとすれば、いずれ、自動車ぐらいは通るだろう。そのうちに夜も明けるだろうし……。