일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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なつのはな

夏の花・心願の国

原 民喜

原 民喜의 夏の花・心願の国(なつのはな)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 152,816자 · 310화면

아오조라 문고

だが、ほぐされたものは忽ち彼から滑り墜ちていた。彼はふらふらの気分で、しかしまっすぐ歩ける自分を訝りながら鋪道を歩いていた。友人と別れた後の鋪道にはまたぼんやりと魔の影が漾っていた。

週に一度の出勤なのに、東京から戻って来ると、翌日はがっかりしたように部屋に蹲っていた。妻が生きていた日まで、この家はともかく、外の魔の姿からは遮られていた。妻のいなくなった今も、まだ外の世界がいきなりここへ侵入して来たのではなかった。だが、どこからか忍びよってくる魔の影は日毎に濃くなって行くようだった。彼は、ある画集で見た「死の勝利」という壁画の印象が忘れられなかった。オルカーニアの作と伝えられる一つの絵は、死者の群のまんなかに大きな魔ものが、どっしりと坐っていた。それからもう一つの絵は、画面のあちこちに黒い翼をした怪物が飛び廻っていた。その写真版からは、人間の頭脳を横切る魔ものの影がぞくぞくと伝わってくるようなのだった。人間の想像力で描き得る破滅の図というものは、いくぶん図案的なものかもしれない。やがて来る破滅の日の図案も、もう何処かの空間に静かに潜められているのだろうか。