후리가나로 읽는 일본 고전
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なつのはな
夏の花・心願の国
原 民喜
原 民喜의 夏の花・心願の国(なつのはな)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 152,816자 · 310화면
暫く滞在していた義姉が神戸の家に帰ることになった。義姉の家には挺身隊の無理から肺を犯されて寝ている娘がいた。その姪のために彼は妻のかたみの着物を譲ることにした。箪笥から取出した衣裳を義母と義姉はつぎつぎと畳の上にくりひろげて眺めた。妻はもっている着物を大切にして、ごく少ししか普段着ていなかったので、殆どがまだ新しかった。義母は愛着のこもった手つきで、見憶えのある着物の裾をひるがえして眺めている。彼には妻の母親が悲歎のなかにも静かな諦感をもって、娘の死を素直に受けとめている姿が羨しかった。ある日こういうことになる日が訪れて来たのか、と彼は着物の賑やかな色彩を眺めながら、ぼんやり考えた。
広島までの切符が手に入ったので、彼は骨壺を持って郷里の兄の家に行くことにした。夕方家を出て電車に乗ると、電車はぎっしり満員だった。夜の混濁した空気のなかで、彼は風呂敷に包んだ骨壺と旅行カバンを両脇にかかえて、人の列に挾まれていた。無事にこの骨壺を持って行けるだろうか、押しあうカーキ色の群衆のなかで彼はひどく不安だった。駅のホームに来てみると列車は満員で、座席はとれなかった。