일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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なつのはな

夏の花・心願の国

原 民喜

原 民喜의 夏の花・心願の国(なつのはな)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 152,816자 · 310화면

아오조라 문고

正三は蚊帳の外に匐い出すと、ゲートルを捲いた。それから雑嚢と水筒を肩に交錯させると、その上をバンドで締めた。玄関で靴を探し、最後に手袋を嵌めた時、サイレンが警戒警報を放った。彼はとっとと表へ飛び出すと、清二の家の方へ急いだ。暗闇のなかを固い靴底に抵抗するアスファルトがあった。正三はぴんと立ってうまく歩いている己の脚を意識した。清二の家の門は開け放たれていた。玄関の戸をいくら叩いても何の手ごたえもない。既に逃げ去った後らしかった。正三はあたふたと堤の路を突きって栄橋の方へ進んだ。橋の近くまで来た時、サイレンは空襲を唸りだすのであった。

夢中で橋を渡ると、饒津公園裏の土手を廻り、いつの間にか彼は牛田方面へ向う堤まで来ていた。この頃、漸く正三は彼のすぐ周囲をぞろぞろと犇いている人の群に気づいていた。それは老若男女、あらゆる市民の必死のいでたちであった。鍋釜を満載したリヤカーや、老母を載せた乳母車が、雑沓のなかを掻きわけて行く。軍用犬に自転車を牽かせながら、颯爽と鉄兜を被っている男、杖にとり縋り跛をひいている老人。……トラックが来た。馬が通る。薄闇の狭い路上がいま祭日のように賑わっているのだった。