일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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なつのはな

夏の花・心願の国

原 民喜

原 民喜의 夏の花・心願の国(なつのはな)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 152,816자 · 310화면

아오조라 문고

……正三は樹蔭の水槽の傍にある材木の上に腰を下ろした。

「この辺なら大丈夫でしょうか」と通りがかりの老婆が訊ねた。

「大丈夫でしょう、川もすぐ前だし、近くに家もないし」そういって彼は水筒の栓を捻った。いま広島の街の空は茫と白んで、それはもういつ火の手があがるかもしれないようにおもえた。街が全焼してしまったら、明日から己はどうなるのだろう、そう思いながらも、正三は目の前の避難民の行方に興味を感じるのであった。

『ヘルマンとドロテア』のはじめに出て来る避難民の光景が浮んだ。だが、それに較べると何とこれは怕しく空白な情景なのだろう。……暫くすると、空襲警報が解除になり、つづいて警戒警報も解かれた。人々はぞろぞろと堤の路を引上げて行く。正三もその路をひとりひきかえして行った。路は来た折よりも更に雑沓していた。何か喚きながら、担架が相次いでやって来る。病人を運ぶ看護人たちであった。

空から撒布されたビラは空襲の切迫を警告していたし、脅えた市民は、その頃、日没と同時にぞろぞろと避難行動を開始した。まだ何の警報もないのに、川の上流や、郊外の広場や、山の麓は、そうした人々で一杯になり、叢では、蚊帳や、夜具や、炊事道具さえ持出された。