일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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なつのはな

夏の花・心願の国

原 民喜

原 民喜의 夏の花・心願の国(なつのはな)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 152,816자 · 310화면

아오조라 문고

瞬間、それを助けに行こうとは思ったが、工場の方で泣喚く学徒の声を振切るわけにはゆかなかった。

もっと痛ましいのは嫂の身内であった。槇氏の家は大手町の川に臨んだ閑静な栖いで、私もこの春広島へ戻って来ると一度挨拶に行ったことがある。大手町は原子爆弾の中心といってもよかった。台所で救いを求めている夫人の声を聞きながらも、槇氏は身一つで飛び出さねばならなかったのだ。槇氏の長女は避難先で分娩すると、急に変調を来たし、輸血の針跡から化膿して遂に助からなかった。流川町の槇氏も、これは主人は出征中で不在だったが、夫人と子供の行方が分らなかった。

私が広島で暮したのは半年足らずで顔見知も少かったが、嫂や妹などは、近所の誰彼のその後の消息を絶えず何処かから寄せ集めて、一喜一憂していた。

工場では学徒が三名死んでいた。二階がその三人の上に墜落して来たらしく、三人が首を揃えて、写真か何かに見入っている姿勢で、白骨が残されていたという。纔かの目じるしで、それらの姓名も判明していた。が、T先生の消息は不明であった。先生はその朝まだ工場には姿を現していなかった。しかし、先生の家は細工町のお寺で、自宅にいたにしろ、途上だったにしろ、恐らく助かってはいそうになかった。