일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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なつのはな

夏の花・心願の国

原 民喜

原 民喜의 夏の花・心願の国(なつのはな)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 152,816자 · 310화면

아오조라 문고

「黄昏は狂人たちを煽情する」とボオドレエルの散文詩にある老人のように、失意のうちに年老いてじりじりと夕暮を迎えねばならぬとしたら、――彼はそれがもう他人事ではないように思えた。「マルテの手記」にある痙攣する老人が彼の方に近づいて来そうであった。

『ベルリン――ロオマ行の急行列車が、ある中位な駅の構内に進み入ったのは、曇った薄暗い肌寒い時刻だった。幅の広い、粗天鵞絨の安楽椅子にレエスの覆いを掛けた一等の車室で、或る独り旅の客が身を起した――アルブレヒト・ファンクワアレンである。彼は眼を醒ましたのである』

夕食後、彼は妻の枕許でトオマス・マンの「衣裳戸棚」の冒頭を暗誦してきかせた。女中のたつは通いで夜は帰って行ったから、その部屋はいま二人きりの領分であった。病気の妻はギラギラと眼を輝かし、彼の言葉に耳傾けていたが「絶唱だね」と彼がつけ加えると、それが他人の作品だと分り多少あきたらない面持にかえったが、猶も彼の意中をさぐろうとするように、凝と空間を見詰めている。長い間、彼は何も書こうとしないが、まだ書こうとする熱意を喪ってはいないのだろうか――そう妻は無言のうちに訊ねているようであった。