후리가나로 읽는 일본 고전
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おおいがわおくやまのはなし
大井川奥山の話
木暮 理太郎
木暮 理太郎의 大井川奥山の話(おおいがわおくやまのはなし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 9,724자 · 20화면
赤石沢に面した北側には、血紅色をしたラディオラリヤ板岩の大塊が生々しく横たわっている。此岩が多い為に赤石沢の名があり、其沢からして赤石なる山名が導かれたものであろう。左手は見るも恐ろしいガレが続いて、其処には高山植物が干からびたような岩間に妍を競うて咲き乱れていた。下り切って兎岳の登りに懸かる頃から、さしもよく晴れていた空にも雲が湧き出して、漸く高い山の頂上を包むようになって来た。赤石沢の上流まで行かなければ、水を得られる当もないので、雲の中をひたすら前進するより外に仕方がなかった。兎岳の頂上には雲間草が非常に多く、湯薬竜胆、岩梨、黄花石楠なども咲いていた。測量の櫓が西の方の低い一角に立っていたので、それにおびき寄せられて、上村と木沢村との境をなす尾根の踏み跡を北又へ下ろうとした人夫は、私に呼び戻されて近道をしようとした為に深い偃松に手痛く悩まされた。兎岳から北に続く余り高低のない二の隆起を踰え、大沢丸岳の梯子をたてたように急峻な破片岩の斜面を一息に上って、狭い頂上で休んでいると、不意に霧の中から不思議な顔が現れる。鼻と鼻とが擦れ合う程に近い、よく見ると羚羊である。