후리가나로 읽는 일본 고전
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
中里 介山의 大菩薩峠(だいぼさつとうげ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 145,722자 · 286화면
この返事は、塔の上はるかな茂太郎の耳には入らなかったでしょう。
「いろいろの虫が、草むらで鳴いておりますよ」
おのおのの虫は、おのおのの生を語るが如く、力いっぱいの奏楽を試みている。弁信は、今、その一つ一つが持つ生命の曲を聞きわけようとして離れられないものらしい。茂太郎は、あらんかぎりの愉悦を以て、あらんかぎりのあこがれを捧げて、星をながめているのだが、虫を聞いている弁信の面から、泣くが如く、憂うるが如き、一味の哀愁を去ることができません――これは二人の性格の相違にもよるのでしょうが、すべて天上を見るものには、無限のあこがれがあって、地上に眼を転ずる時は、誰しも一味の哀愁をわすれることができないのでしょう。
そこで、天上と地上の二人の交渉は、暫く絶えてしまいました。
星はほしいままに天上にかがやき、虫は精いっぱいに地上で鳴いていると、
「鳥と虫とは鳴けども涙落ちず、日蓮は泣かねど涙ひまなし……と日蓮上人が仰せになりました」
弁信法師がこういって、見えない眼をしばたたいたのは、物に感じて、また例のお喋りを禁ずることができなくなったものでしょう。
「鳥と虫とは鳴けども涙落ちず、日蓮は泣かねど涙ひまなし……と日蓮上人が仰せになりましたのは……」