일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

中里 介山의 大菩薩峠(だいぼさつとうげ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 178,374자 · 345화면

아오조라 문고

たしかに自分というものに視点を注がれて、じっと思い込んでおいでになったそのお心持は、不意にわたしの眼とかち合ったあの瞬間の狼狽ぶりでよくわかる。

お松はその時に、思わず面が真赤になりました。

今まで、尊敬すべき主人として、二心なく働いていたし、また、こういう御主人の下に働き得ることに、精一杯の満足を捧げていたのですから、いかに接近して、いかに立入ったお仕事の相手をしようとも、自分としては、ちっとも心の動揺を感じたことはなし、また殿様も、女性として、人間として、わたしをごらんなさるほどに人情に近い方ではないから、単に、この中で最も役立つ女という実用一方のお取扱いとのみ信じていたから、そこになんらの隔意というものはありませんでしたが、この時は違いました。

お松は何の故に、駒井の殿様が、今更あんなにわたしを御注視なすっていらしったか、その心のうちを知るに苦しみました。そうして、その瞬間に、使われ人としての自分でなく、女性としての己れを発見したものですから、我知らず狼狽して、ホッと上気してしまったこの心持が、自分ながらわからない。恥かしいとは思いましたが、ただ恥かしいでは隠しきれないバツがあって、そこは賢い女ですから、取紛らすように心を立て直し、言葉を改めて駒井に向って言いました。