후리가나로 읽는 일본 고전
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
中里 介山의 大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 285,635자 · 558화면
そこで本家へ取ってかえそうとして鈍重な身を起しかけた時、不意に裏口の戸があいて、そこから声もかけずに人が一人飛び込んで、また素早くその戸を閉してしまったことを知りました。しかしそれは鈍重な与八が身を起しかけた途端、その背後で起ったことですから、与八は、その入り込んで来た人の影をだに見ることができないすきに、その人の形は、この水車小屋のいずれを見廻しても、認むることができないのであります。
「誰だい」
与八は片膝を立てながら、四方を幾度も見廻して、呼びかけてみたが返事がありません。返事がないのみならず、ほとんど人の気配がないのであります。
果して人間が入って来たものならば、そのいずれに隠れたにしても、多少の間は、空気の動揺というものが残らなければならないはずでありますが、物音のしたすきまに、その空気の動揺が消え去ったのは――或いは全く空気を動揺せしめずして、身体だけを運行させたもの――それは煙か、幽霊かでなければできないことのように思われますけれど、いま入って来た人は、入って来た人があると仮定して、その人は、たしかにそれを行なっているもののように思われます。