후리가나로 읽는 일본 고전
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しっちょうき
失蝶記
山本 周五郎
山本 周五郎의 失蝶記(しっちょうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 22,072자 · 44화면
おすえはいそいで顔をそむけ、前掛で眼を押えるのが見えました。
いまこの手記を書き続けながら、いつも石楠花が付いてまわることに気づいて、かなしいほどむなしい思いにとらわれました。年々咲く花は変らないが、――という古い詩の句などが頭にうかび、上町の屋敷の裏庭で、石楠花の下に立っておられたあなたの姿と、それから六年経ったいまの状態とを比べて、人のめぐりあわせの頼みがたさ、というおもいで、ただ溜息をつくばかりです。
私が明神の滝へかよいだしたのは、去年の夏のはじめからのことでした。母がどこかで聞いて来て、霊験があるそうだからとすすめたのです。滝に打たれるなどということは、信仰心があってこそ効果も望めるでしょうが、私にはそんな気持もないし、むしろ神仏を憎んでさえいたときですから、母の言葉もそのままききながしていました。けれども心のどこかには、やはり治りたい、という思いがひそんでいたのでしょう。四月下旬になり、青葉が強い日光にきらめくさまや、夏草が風にそよぐけしきなどを見ると、気ばらしになるだけでもいいと思い、初めて明神の滝へでかけていったのです。
そこへは少年のころ、二度か三度いったことがあります。