후리가나로 읽는 일본 고전
ja-reading.com
후리가나가 있는 일본 고전을 온라인으로 읽으세요. JLPT 수준으로 골라 보고, 단어를 눌러 뜻을 확인하고, 문장을 번역하세요.
しっちょうき
失蝶記
山本 周五郎
山本 周五郎의 失蝶記(しっちょうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 22,072자 · 44화면
おすえが答えようとすると、治兵衛の手がさぐるように肩を押えた。おすえは黙り、戸の外で人の声がするのを聞いた。
「おちつけよ」と治兵衛が囁いた、「釜戸の蔭で待つんだぞ、慌てるな」
おすえは息が詰りそうになった。
「ちょっと起きてくれ」と、表の戸の外で男が云った、「坂下の茂七だ、人しらべに城下からお役人がみえている、ここをあけてくれ」
おすえは釜戸の蔭へ身をひそめてから、父がなぜそこに隠れろと云ったか、という理由に気がついた。戸外の人は表だけでなく、裏のほうにもいるらしい。裏の洗い場のところで物の倒れる音がし、「しっ」と制止する声が聞えたのである。――治兵衛は行燈に火を入れてから、土間へおりて潜り戸をあけた。すると提灯を持った茂七を先に、侍が一人はいって来た。茂七は、この村の名代名主であるが、家の中をひとわたり見まわしてから、土間をぬけて裏戸をあけ、提灯を振ってなにか云ったが、おすえにはよく聞きとれなかった。
「変った事はない」と外で答える声がした、「出て来た者もない」
そしてすぐに、茂七のあとから若い娘と、下僕とみえる男がはいって来た。裏戸はあけたままであった。