후리가나로 읽는 일본 고전
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
野村 胡堂의 奇談クラブ〔戦後版〕(きだんクラブ〔せんごばん〕)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 13,713자 · 28화면
「あの、お兄様――私は矢張り外へ引越そうと思いますが」
それはもう十二月になってからでした。身なりは変って居りますが、三ヶ月前此処へ来た時と同じコバルト色のスーツケースをさげて、寿美子は小杉卓二の、あの散ばった書斎へ暇乞いに行ったのです。
「引越し?」
小杉卓二には、暫らくの間寿美子のいった言葉の意味がわからなかった様子です。
「長い間お世話になりましたが、こうして居ては、お兄様の為にもならないようですから、私は矢張り身を退くことにいたしました」
お話ではなくて、それは宣言でした。最後的な絶交状を突き付けたといってもいいでしょう。
「何処へ行くのだ、北海道へ帰るというのか」
「いえ、北海道へは帰りません」
「では?」
「東京に踏み止って仕事をさがしますが、丁度Hさんが御自分のアパートに空間があるからと教えてくれましたので」
「何? Hのところへ」
「――――」
暫らく重っ苦しい沈黙が続きました。
「それも宜かろう――が、此処を寿美子さんが出る前に、一つだけ見せて置き度いものがある、――由紀子の形見だが」
小杉卓二は思いの外気軽にうなずくと、そのまま立って、境の扉を開けました。