후리가나로 읽는 일본 고전
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たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
佐藤 垢石의 完本 たぬき汁(たぬきじる)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 133,158자 · 273화면
私は、小石川の魚屋の親爺ですが、私の仲間にも厄介になった人があるんで、同業者がみんな感謝しているような訳です』
『なんという人ですか』
『三木武吉といいますよ。しかしね、私は先だってからここの松寿園に滞在して酒匂の川尻の黒鯛を狙っているのですけれど、三木の選挙がどうなるかということを考えると、頭がこんがらがって、魚の当たりなど少しも分かりませんやね。きょう釣れないのもそのためでしょう』
『えらいご執心ですな』
夕方の上げ潮がきたので、また熱心に釣りはじめたが、その日の収穫は、甚だ僅かであった。
帰京してから三木武吉という名前を思いだして新聞をみると、じゃんじゃんと戦っている。相手は、やはり同じ憲政会の頼母木桂吉だ。無名の新候補が飛びだしたのでは、敵党政友会の地盤へ斬り込むのは困難であるから、専ら同志の票を食う作戦らしい。
この選挙は、大隈内閣の運命を賭するものであったから、火花が巷に散った。
三木はそのとき僅かに三十二歳。政党人としてはほんの駈けだしである。立候補しても選挙運動費はたった三千円しか用意できなかった。
選挙期日の二日前、つまり明後日は投票日であるときになって、総理大臣大隈重信が、自党の候補者頼母木桂吉のために応援演説にでるという情報を、三木がききこんだ。