후리가나로 읽는 일본 고전
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ふじ
富士
岡本 かの子
岡本 かの子의 富士(ふじ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 40,579자 · 82화면
地平の線には立木の林が陽を享けて薄の群れのように光っている。翁は地平のかなたの端から、擬した指尖を徐ろに目途の正面へと撫で移して行く。そこに距離の間隔はあれども無きが如く、翁の擬して撫で来る指の腹に地平の林は皮膚のうぶ毛のように触れられた。いつまでも平の続く地平線を撫で移って行く感覚は退屈なものである。人間の翁がそう感ずると等しく、自然自体も感ずるのであろうか、翁の指尖が目途の正面を越して反対側へ撫で移るまもないところから地平は隆起し、麓から中腹にさしかかり、ついに聳え立つ峯巒となる。遠方から翁の指尖はこつに嵌ったその飛躍の線に沿うて撫で移って行くと音楽のような楽しいリズムを指の腹に感ずる。地の高まりというものは何と心を昂揚さすものであろう。人を悠久に飽かしめない感動点として山は天地間に造られているのであろう。
火の端で翁は、つれづれであった。翁は腕を動かして自分の肉体の凸所を撫でまわす。肩尖、膝頭、臀部、あたま――翁の眼中、一々、その凸所の形に似通う山の姿が触覚より視覚へ通じ影像となって浮んで来た。
山処の
ひと本すゝぎ
朝雨の
狭霧に将起ぞ
翁は身体を撫でながら愛に絶えないような声調で、微吟した。