후리가나로 읽는 일본 고전
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ちいさなやぎのきろく
小さな山羊の記録
坂口 安吾의 小さな山羊の記録(ちいさなやぎのきろく)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 9,402자 · 19화면
一度は京都へ行く必要があったので、その旅行に希望をかけた。私は大晦日の朝の急行で、東京を出発した。これが致命的な失敗となった。
東海道線も、その翌日、つまり一月からは汽車にスチームが通じたのだが、大晦日の朝の急行はスチームがなかった。寒気のために、全身の顫えがとゞまらず、鼻から、口から、まったく寸秒の暇なく洟汁が流れ、こみあげ、私は吐き気のために、そして、それを抑えるために、胃がねじくれ、意識が、苦痛以外には、すべて、失われるようであった。
その夕方の六時、京都へ辿りついた時、私はまったく病人であり、発熱して、旅館に病臥してしまった。京都へ着いたら、と、色々と思い描いていた希望は、すべて虚しく、約二時間、京都の街をうろついたほかは、旅館にとじこもって、炬燵に寝倒れ、その肉体的な苦痛よりも、仕事と闘うために最後の希望を托していた、その打撃が、まさしく私を打ちふせてしまったのである。
この旅行の取柄と云えば、私の泊った旅館が、終戦まで宮様の邸であったことで、その間どりは、私がはじめて見たものであった。つまり、廊下を通らずに、大きな座敷を通らなければ、奥へ行くことが出来ない仕掛けになっており、その座敷が「トノイ」