후리가나로 읽는 일본 고전
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おびひろまで
帯広まで
林 芙美子
林 芙美子의 帯広まで(おびひろまで)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 13,656자 · 28화면
九太は自然に伊代の傍へ帰って来て、ポケットから煙草を出してマッチを擦った。伊代は泣き声をあげていた時よりも一層悄気て、灰皿を九太の膝元へ押しやると、少女のようにうつむいてしまった。心の中で、どうにもならないと観念していた。胡坐を組んでいる男の膝のあたりに呆んやり眼をやっていたが、此男から自分が無用扱いにされだしたのだと思うと、伊代はまた新しく涙がこみあげて来た。
男の一人ぐらいはどうにでもなると思ったのが伊代の誤算であった。――「あいぬの血族を持っている女だが、どう、美しい女だろう?」そう云って、或日九太が洋服から写真を出して伊代へ見せた。濃い眉の下に澄み渡った大きい眼が仄々としていた。着物の衿を細く出して、円いあごに陶器のような光線があたっていた。さえざえした顔であった。
「どんなひとなの」
「亡くなった楽長さんの奥さんでね。お母さんがあいぬだそうだ」
「じゃ、北海道のどこかなのね、お国は……」
「うん、帯広って処だそうだ」
「あなた好きなのでしょう」
「好きだよ」
「どんなに好きなの?」
「どんなにって、友人程度さ……」
「どうだか! 私と別れて、一緒になってしまいたいのでしょ。