후리가나로 읽는 일본 고전
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あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
平林 初之輔의 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕(あるたんぼうきしゃのはなし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 113,247자 · 229화면
しかしながら、時はすべての悲しみを癒すと言ったパスカルの言葉は正しい。おまけに、その後私が経験した時というのは尋常一様の時ではなかったのだ。大正十二年九月の関東大震災を中にはさんでいたのだ。この、人間を蠅のように殺し、人間のこしらえた文明を玩具のように破壊した大地震は、言わば私の心の中までもゆすぶって、すっかり平衡を攪乱してしまった。そうして、不思議なことであるが、雪子を失って以来砂漠のようになってしまったと自分でも思っていた私の心に、再び異性に対する恋を芽ぐませたのである。二度目の恋の相手は、横浜の相当な貿易商の娘だということであるが、震災のために両親と財産とを失ってしまって、天の下にたよるべき人のない身の上であった。横浜のサンタ・マリア女学院の出身だということであるから、今でも、同窓生のうちには、深尾みな子といえば心当たりのある人がいるかも知れぬ。ともかく、その当時は、彼女は、銀座の某カフェの女給をしていたのである。
もちろん二人の恋は、雪子との恋のように熱烈なものではなかった。不幸な男女同士の間に自然にかもされる同情からはじまって、それがしらずしらずのうちに恋愛にかわっていたといった風の、ごく静かな、言わば陰性の恋だった。