후리가나로 읽는 일본 고전
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あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
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N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 113,247자 · 229화면
といって、これから話そうと思うのは僕らの経験の中ではごくおとなしい、あたりさわりのない事件の方で、こんな事件は、僕らの手帳にはざらにあるのだ、が。
* * *
だいぶ古い話だが××大学の勅任教授の遠藤博士が(もちろんこれは仮名だが)「胎教」について新学説を発表して、学界の大問題をおこしたことがある。あの当時新聞の社会面にまででかでかに書きたてられたから、専門家でなくても、まだ記憶している人があるかも知れない。
その学説の趣旨というのはこうだ。婦人が妊娠中に、精神的にある人をひどく崇拝するとか、その人の思想や徳行の感化を受けると、その感化が胎児に影響して、生まれた子供は、その人に似てくる、というのである。しかもただ精神的に似てくるというだけではなくて、容貌や、肉体上の特質までも似てくるというのだ。
「だから」と遠藤博士は言っていた。「妊婦の教育は非常に大切で、立派な子供を生もうと思えば、妊娠中に、自分の崇拝している人物のことを常に念頭において、その人を亀鑑として精神修養を怠ってはならない。従来の遺伝学や、優生学はあまり唯物論的で誤っている。