후리가나로 읽는 일본 고전
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まぼろしのたて
幻影の盾
夏目 漱石의 幻影の盾(まぼろしのたて)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 22,372자 · 45화면
祭る聖母は恋う人の為め、人恋うは聖母に跪く為め。マリアとも云え、クララとも云え。ウィリアムの心の中に二つのものは宿らぬ。宿る余地あらばこの恋は嘘の恋じゃ。夢の続か中庭の隅で鉄を打つ音、鋼を鍛える響、槌の音、ヤスリの響が聞えて、例の如く夜が明ける。戦は愈せまる。
五日目から四日目に移るは俯せたる手を翻がえす間と思われ、四日目から三日目に進むは翻がえす手を故に還す間と見えて、三日、二日より愈戦の日を迎えたるときは、手さえ動かすひまなきに襲い来る如く感ぜられた。「飛ばせ」とシーワルドはウィリアムを顧みて云う。並ぶ轡の間から鼻嵐が立って、二つの甲が、月下に躍る細鱗の如く秋の日を射返す。「飛ばせ」とシーワルドが踵を半ば馬の太腹に蹴込む。二人の頭の上に長く挿したる真白な毛が烈しく風を受けて、振り落さるるまでに靡く。夜鴉の城壁を斜めに見て、小高き丘に飛ばせたるシーワルドが右手を翳して港の方を望む。「帆柱に掲げた旗は赤か白か」と後れたるウィリアムは叫ぶ。「白か赤か、赤か白か」と続け様に叫ぶ。鞍壺に延び上ったるシーワルドは体をおろすと等しく馬を向け直して一散に城門の方へ飛ばす。