후리가나로 읽는 일본 고전
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いようへん
影を踏まれた女
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 影を踏まれた女(いようへん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 23,110자 · 46화면
風は東南で、彼にとっては追い風であるのがせめてもの仕合せであったが、吹かれて、吹きやられて、ややもすれば吹き飛ばされそうになるのを、彼は辛くも踏みこたえながら歩いた。滝のようにそそぎかかる雨を浴びて、彼は骨までも濡れるかと思った。その雨にまじって、木の葉や木の枝は勿論、小石や竹切れや簾や床几や、思いも付かないものまでが飛んでくるので、彼は自分のからだが吹き飛ばされる以外に、どこからともなしに吹き飛ばされてくる物をも防がなければならなかった。
「こうと知ったら、いっそ泊めてもらえばよかった。」と、彼は今更に後悔した。
さりとて再び引っ返すのも難儀であるので、伊四郎はもろもろの危険を冒して一生懸命に歩いた。そうして、ともかくも一町あまりも行き過ぎたと思うときに、彼はふと何か光るものをみた。大川の水は暗く濁っているが、それでもいくらかの水あかりで岸に沿うたところはぼんやりと薄明るく見える。その水あかりを頼りにして、彼はその光るものを透かしてみると、それは地を這っているものの二つの眼であった。しかしそれは獣とも思われなかった。二つの眼は風雨に逆らってこっちへ向ってくるらしいので、伊四郎はともかくも路ばたの大きい屋敷の門前に身をよせて、その光るものの正体をうかがっていると、何分にも暗いなかではっきりとは判らないが、