후리가나로 읽는 일본 고전
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かいそう
快走
岡本 かの子
岡本 かの子의 快走(かいそう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 5,273자 · 11화면
翌日道子はアンダーシャツにパンツを穿き、その上に着物を着て隠し、汚れ足袋も新聞紙にくるんで家を出ようとした。
「どこへ行くんです、この忙がしいのに。それに夕飯時じゃありませんか」
母親の声は鋭かった。道子は腰を折られて引返した。夕食を兄弟と一緒に済ました後でも、道子は昨晩の駈足の快感が忘れられなかった。外出する口実はないかと頻りに考えていた。
「ちょっと銭湯に行って来ます」
道子の思いつきは至極当然のことのように家の者に聞き流された。道子は急いで石鹸と手拭と湯銭を持って表へ出た。彼女は着物の裾を蹴って一散に堤防へ駈けて行った。冷たい風が耳に痛かった。堤防の上で、さっと着物を脱ぐと手拭でうしろ鉢巻をした。凜々しい女流選手の姿だった。足袋を履くのももどかしげに足踏みの稽古から駈足のスタートにかかった。爪先立って身をかがめると、冷たいコンクリートの上に手を触れた。オン・ユアー・マーク、ゲットセッ、道子は弾条仕掛のように飛び出した。昨日の如く青白い月光に照らし出された堤防の上を、遥かに下を多摩川が銀色に光って淙々と音を立てて流れている。
次第に脚の疲れを覚えて速力を緩めたとき、道子は月の光りのためか一種悲壮な気分に衝たれた――自分はいま溌剌と生きてはいるが、違った世界に生きているという感じがした。