후리가나로 읽는 일본 고전
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
佐左木 俊郎의 恐怖城 他5編(きょうふじょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 143,735자 · 290화면
それに、ここまで来てしまえば、もはやどこにもそこを避けて回り道をする道は一本もなかった。そうでなくてさえ、時刻はもう迫っていた。爺はそこを突っ切ってやろうと考えた。そこにどんな結果が待っているか、そんなことを考えている余裕などはなかった。爺は警官の目を盗むようにして、荷車を曳いたままいっきに駆けだした。
「やあ! やあ!」
「勇士! しっかり!」
群衆が叫びだした。そして、群衆の一角が崩れた。哄笑! 罵倒! 叫喚!
「こらこらっ! 待てっ!」
警官が飛んできて爺の腕を掴んだ。
「いかんと言っているのが分からんのか? こっちへ来い!」
「旦那さま! 市場へ入る時間がなくなりますから……」
「来いったら来い。こっちへ来い」
そして、警官は荷車を曳かせたまま爺を横町へ引き込んでいった。群衆がその後ろから雪崩れていった。
3
荷車と、それに積んである野菜物とが吾平爺の全資本であった。同時に、それは爺の全財産と言ってもよかった。今日、もしその野菜物を神田の青物市場へ曳いていくことができないとすれば、吾平爺の資本は全部消滅してしまうのだった。同時に、爺の生活もまたそこでまったく断ち切られるわけだった。