후리가나로 읽는 일본 고전
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
佐左木 俊郎의 恐怖城 他5編(きょうふじょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 143,735자 · 290화면
若い検事は鶴代をよく知っていた。彼女もまた彼をよく知っていた。彼はそのころ卒業に近かったが、ある下宿屋からまだ大学に通っていた。そして、彼女はその下宿の女中をしていたのだった。若い検事はその当時の、彼女と自分とのいるいくつかの情景を思い出さずにはいられなかった。彼女にちょっと纏まった金を与えて、その下宿から自分の家へ帰らせたのも彼であった。
若い検事はどうしていいか分からなくなってきた。彼女の犯罪の動機となった情夫! それは取りも直さず自分ではなかったか? 彼女の犯罪の裏に情夫のあることを主張したのが自分であったことを考えて、彼はひどく混乱した。なぜあんな馬鹿なことを主張したのか? なぜあの時彼女のことを思い出さなかったのか?
しかし、若い検事はもはや自分の意見を翻すわけにいかなかった。焼き場で署長らに対して発表した自分の観察を、検察官の立場から押し通さねばならなかった。他人に盛った毒をまず自分が呷らねばならないような立場を、彼は胸を抉り取られるように感じた。罪に立とう! 彼はいっさいのものに対して目を瞑ろうとした。そして、そのあとから彼の純情が勃然として湧き上がってきた。