일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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あいけいでん

愛卿伝

田中 貢太郎

田中 貢太郎의 愛卿伝(あいけいでん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 6,745자 · 14화면

아오조라 문고

と、どこからか泣声のような物声が聞えてきた。趙は不思議に思うてその方へ耳をやった。それは確かに咽び泣く泣声であった。

泣声はすぐ近くに聞えた。趙は何者の泣声だろうと思って、起って声のした方へ眼をやったが何も見えなかった。趙はこの時ふと思いだしたことがあった。

「だれ、愛愛じゃないのか、愛愛なら何故すぐきてくれない、愛愛じゃないのか」

趙はこう言ってまた透して見た。

「愛愛でございます、あなたのお言葉に従いましてまいりました」

それは耳の底にこびりついている愛卿の声であった。趙はその方へ眼をやった。人の歩いてくるような気配がして物の影がひらひらとしたが、やがて五足か六足かの前へ白い服を著た人の姿がぼんやりと浮んだ。面長な白い顔も見えた。それは生前そのままの愛卿の姿であったが、ただ首のまわりに黒い巾を巻いているだけが違っていた。

愛卿の霊は趙の方を見て拝をしたが、それが終ると悲しそうな声を出して歌いだした。それは沁園春の調にならってこしらえた自作の歌であった。

一別三年

一日三秋

君何ぞ帰らざる

記す尊姑老病

親ら薬餌を供す

塋を高くして埋葬し

親ら麻衣を曳く

夜は燈花を卜し