후리가나로 읽는 일본 고전
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わがやのらくえん
我が家の楽園
久生 十蘭
久生 十蘭의 我が家の楽園(わがやのらくえん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 90,195자 · 175화면
地形と地物の情況から判断すると、戦闘は、まず夜具の周囲で展開され、いくどか遭遇戦があったのち、壁ぎわへ移行して、そこで決戦になったものと思われる。
石田氏は立ち、賢夫人は腰をぬかしているので、最初の瞥見では、石田氏の完全な勝利だったような印象を受けたが、それはちがった。
足を投げだして坐っている賢夫人は、いかにもすずしげなようすで、悠然と髪を撫であげ、石田氏のほうは、絶句して蒼くなって震えている。相互の関係から推察すると、石田氏は措辞に窮したすえ、逆上して戦力に訴えたもので、明かに、石田氏の負けだったのである。この際、こういう話をもちこむと、たぶん激発するだろうと思ったが、五千百六十円と聞くなり、石田氏は、はたして腹をたてて、
「よし、おれが行く」
と早足で部屋から出て行った。
放っておけないような気がするので、後からついて行くと、石田氏は、ズボンのかくしに両手を突っこんだまま、水道局の前に立ち、戦闘の直後とも思えぬ冷静な官僚の顔で、
「どういう話です」
と切りだした。
水道局の言い分は、三月末日に、調達局から収用期間中の支払いを受け、バルブを開けて水を落してしまったので、その後に満水された分にたいしては、旧所有者に支払いの義務があるというのであった。