후리가나로 읽는 일본 고전
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あるおんな
或る女
有島 武郎
有島 武郎의 或る女(あるおんな)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 149,981자 · 295화면
今まで知らなかった、捕虜の受くる蜜より甘い屈辱!
葉子の心はこんなに順序立っていたわけではない。しかし葉子は両手で頭を押えて鏡を見入りながらこんな心持ちを果てしもなくかみしめた。そして追想は多くの迷路をたどりぬいた末に、不思議な仮睡状態に陥る前まで進んで来た。葉子はソファを牝鹿のように立ち上がって、過去と未来とを断ち切った現在刹那のくらむばかりな変身に打ちふるいながらほほえんだ。
その時ろくろくノックもせずに事務長がはいって来た。葉子のただならぬ姿には頓着なく、
「もうすぐ検疫官がやって来るから、さっきの約束を頼みますよ。資本入らずで大役が勤まるんだ。女というものはいいものだな。や、しかしあなたのはだいぶ資本がかかっとるでしょうね。……頼みますよ」と戯談らしくいった。
「はあ」葉子はなんの苦もなく親しみの限りをこめた返事をした。その一声の中には、自分でも驚くほどな蠱惑の力がこめられていた。
事務長が出て行くと、葉子は子供のように足なみ軽く小さな船室の中を小跳りして飛び回った。そして飛び回りながら、髪をほごしにかかって、時々鏡に映る自分の顔を見やりながら、こらえきれないようにぬすみ笑いをした。