후리가나로 읽는 일본 고전
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あるおんな
或る女
有島 武郎
有島 武郎의 或る女(あるおんな)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 149,981자 · 295화면
「ごもっともです」
事務長は虻に当惑した熊のような顔つきで、柄にもない謹慎を装いながらこう受け答えた。それから突然本気な表情に返って、
「わたしも事務長であって見れば、どのお客様に対しても責任があるのだで、御迷惑になるような事はせんつもりですが」
ここで彼は急に仮面を取り去ったようににこにこし出した。
「そうむきになるほどの事でもないじゃありませんか。たかが早月さんに一度か二度愛嬌をいうていただいて、それで検疫の時間が二時間から違うのですもの。いつでもここで四時間の以上もむだにせにゃならんのですて」
田川夫人がますますせき込んで、矢継ぎ早にまくしかけようとするのを、事務長は事もなげに軽々とおっかぶせて、
「それにしてからがお話はいかがです、部屋で伺いましょうか。ほかのお客様の手前もいかがです。博士、例のとおり狭っこい所ですが、甲板ではゆっくりもできませんで、あそこでお茶でも入れましょう。早月さんあなたもいかがです」
と笑い笑い言ってからくるりッと葉子のほうに向き直って、田川夫妻には気が付かないように頓狂な顔をちょっとして見せた。
横浜で倉地のあとに続いて船室への階子段を下る時始めて嗅ぎ覚えたウイスキーと葉巻とのまじり合ったような甘たるい一種の香いが、この時かすかに葉子の鼻をかすめたと思った。