후리가나로 읽는 일본 고전
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あるひのたいわ
或る日の対話
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 或る日の対話(あるひのたいわ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 5,277자 · 11화면
俺と娘は池のふちの腰掛に坐って、海亀の出てくるのを待った。待ちくたびれてきた頃、俺はヨウカンを出して娘にたべさせた。叔父夫婦や子供たちへのヨウカンは、別に風呂敷包みの中にいっぱいはいっているのだ。娘は一本のヨウカンを半分たべ、俺もお蔭で半分たべた。あとの一本は、食べなければ海亀にやるぞとおどかして、娘にたべさせた。
「それで万事終った。海亀なんぞもともといやしない。風呂敷包みの中は、開けてみれば書物だけだ。それを知って、善良な娘は眼に一杯涙をため、堪えられなくなって、一滴か二滴ぽとりと落した。
「だが、その後で、俺は淋しくなった。たとえ親子の間でも、こんな人情はけちくさくていかん。そんなものは克服しなければいけない。青空を仰いで大きな息をしたいものだと、眉をひそめて考えたよ。――この話、お前はどう思うか。」
私は返事もせず、彼の方を振り向きもしなかった。彼の話には、初めから皮肉な調子がこもっていて、それが次第に強くなり、話そのものまで眉をひそめてるかのようだった。
「え、どう思うか。」と彼は促した。
「皮肉が言いたければ、外の話題を選ぶがいい。」と私は答えた。