후리가나로 읽는 일본 고전
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あるおとこのしゅき
或る男の手記
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 或る男の手記(あるおとこのしゅき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 43,279자 · 86화면
妻を持ってる身の上だから若い女と一緒に歩くのは悪いというのは、本当の夫婦生活を知らない者の言葉だ。夫婦生活とはそんな堅苦しい窮屈なものではない。僕は光子と井ノ頭に行った時、少しも心にやましさを感じはしなかった。僕はお前と一緒の生活にしっかり腹を据えているので、どんなことをしても大丈夫だと思い、何の危険もないものと思っていた。この僕の心持だけは、どうか誤解しないで信じてくれ。ただ僕は、そういう信念の下に余り油断してたのがいけないのだ。」
この言葉は嘘ではない。全く私はそういう信念を持っていた。所が、そんな信念なんかを吹き飛ばしてしまうほどの、もっと深い所に潜んでるいけないものが――油断なんかという言葉で蔽いつくせないものが、私の生活の中にあったのだ。がそのことはもっと先で云おう。
吉祥寺で電車から降りて、井ノ頭公園の方へ歩き出した時、私は光子の様子の変ったのに驚いた。東京駅で電車に乗るまで彼女は、私に対してあれほど和やかな心持を示して、何か遠い夢の跡をでも追ってるようなぼんやりさで、私に信頼し私に凡てを打任せていたのであるが、今私と並んで田舎道を歩いている彼女には、すぐ眼の前に浮んでる何かを一心に見つめて、じっと凝り固ってるような様子が、顔付や足取りに現われていた。