후리가나로 읽는 일본 고전
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おしえとたびするおとこ
押絵と旅する男
江戸川 乱歩
江戸川 乱歩의 押絵と旅する男(おしえとたびするおとこ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 17,416자 · 35화면
すると、それはやっぱり淋しい夜の汽車の中であって、押絵の額も、それをささげた老人の姿も、元のままで、窓の外は真暗だし、単調な車輪の響も、変りなく聞えていた。悪夢から醒めた気持であった。
「あなた様は、不思議相な顔をしておいでなさいますね」
老人は額を、元の窓の所へ立てかけて、席につくと、私にもその向う側へ坐る様に、手真似をしながら、私の顔を見つめて、こんなことを云った。
「私の頭が、どうかしている様です。いやに蒸しますね」
私はてれ隠しみたいな挨拶をした。すると老人は、猫背になって、顔をぐっと私の方へ近寄せ、膝の上で細長い指を合図でもする様に、ヘラヘラと動かしながら、低い低い囁き声になって、
「あれらは、生きて居りましたろう」
と云った。そして、さも一大事を打開けるといった調子で、一層猫背になって、ギラギラした目をまん丸に見開いて、私の顔を穴のあく程見つめながら、こんなことを囁くのであった。
「あなたは、あれらの、本当の身の上話を聞き度いとはおぼしめしませんかね」
私は汽車の動揺と、車輪の響の為に、老人の低い、呟く様な声を、聞き間違えたのではないかと思った。