후리가나로 읽는 일본 고전
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おしえとたびするおとこ
押絵と旅する男
江戸川 乱歩
江戸川 乱歩의 押絵と旅する男(おしえとたびするおとこ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 17,416자 · 35화면
「これが御覧になりたいのでございましょう」
私が黙っているので、彼はもう一度同じことを繰返した。
「見せて下さいますか」
私は相手の調子に引込まれて、つい変なことを云ってしまった。私は決してその荷物を見たい為に席を立った訳ではなかったのだけれど。
「喜んで御見せ致しますよ。わたくしは、さっきから考えていたのでございますよ。あなたはきっとこれを見にお出でなさるだろうとね」
男は――寧ろ老人と云った方がふさわしいのだが――そう云いながら、長い指で、器用に大風呂敷をほどいて、その額みたいなものを、今度は表を向けて、窓の所へ立てかけたのである。
私は一目チラッと、その表面を見ると、思わず目をとじた。何故であったか、その理由は今でも分らないのだが、何となくそうしなければならぬ感じがして、数秒の間目をふさいでいた。再び目を開いた時、私の前に、嘗て見たことのない様な、奇妙なものがあった。と云って、私はその「奇妙」な点をハッキリと説明する言葉を持たぬのだが。
額には歌舞伎芝居の御殿の背景みたいに、幾つもの部屋を打抜いて、極度の遠近法で、青畳と格子天井が遙か向うの方まで続いている様な光景が、藍を主とした泥絵具で毒々しく塗りつけてあった。