후리가나로 읽는 일본 고전
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そうわ
挿話
徳田 秋声
徳田 秋声의 挿話(そうわ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 26,544자 · 53화면
お絹は著ものを著かえる前に、棚から弁当を取りだして、昨夜から註文をしておいた、少しばかりの御馳走やおすしを、お箸で詰めかえていた。山遊びの弁当には酒を入れる吸筒もついていて、吼の蒔絵がしてあった。
「今でもこんなものを持ってゆくのかい」道太はその弁当をもの珍らしそうに眺めていた。
「あまりいいものでもないけれど」
「この弁当は」道太は子供のように今一つの弁当を捻くっていた。
「それは演舞場へお稽古に行くときのお弁当や」
「しかし芝居見物もこんなふうにしてゆくとおもしろいね」
「こちらかって、幕のうちもあるし、鰻でも何でもあります。でもこれも楽しみやさかえ」お絹はそう言って、それからこの間どこからか貰ってきた大きな蒸鮑を、母親に切ってもらっていた。老母は錆びた庖丁を砥石にかけて、ごしごしやっていた。
「これおいしいですよ。私大事に取っておいたの」お絹は言っていた。
「その庖丁じゃおぼつかないな」道太はちょっと板前の心得のありそうな老母の手つきを、からかい半分に眺めていた。
「庖丁はさびていても、手が切れるさかえ」老母はそう言って、刃にさわって見ていた。
やがて弁当の支度を母親に任かして、お絹は何かしら黒っぽい地味な単衣に、ごりごりした古風な厚ぼったい帯を締めはじめた。