후리가나로 읽는 일본 고전
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はせくらじけん
支倉事件
甲賀 三郎
甲賀 三郎의 支倉事件(はせくらじけん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 204,697자 · 406화면
それからもう一つの方は」
若い教授は鳥渡言葉を切った。固唾を呑んで聞いていた石子は、はっと面を上げて一言一句も聞き落とすまいと身構えた。こゝからは大川が一眼に見渡せて、折柄満々たる風を孕んだ帆船が一艘悠々と上って行くのが見えた。言葉を切って鳥渡窓外の景色を眺めていた教授は、ふと緊張した石子に眼を落とすと周章て言葉をついだ。
「もう一つの方はメリンスの地に模様があります。その模様は大きな花、多分牡丹かと思えるものゝ一部で、色はすっかり褪せていますが、確に元は赤色だったのですよ」
聞いているうちに石子の暗い心は春光に浴した蕾のように次第にほぐれて来た。彼の顔には押えても押え切れない喜びの微笑が浮び出て来るのだった。
「有難うございました」
思い通りの結果を得た石子刑事は、嬉しそうにして若い教授に頭を下げながら、
「お蔭で貴重な手懸りが得られました」
「そうですか、それは結構でした」
若い教授は鷹揚にお辞儀をした。
校門を出た石子刑事の足取は揚々としていた。見込をつけた通り発掘した屍体は九分通り小林貞の屍体に相違なかった。自殺か他殺か其点は未だはっきりしないが、屍体の上った場所と云い、前後の事情から押して、先ず支倉の所為と見て好い。