일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

吉川 英治의 新書太閤記(しんしょたいこうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 190,406자 · 381화면

아오조라 문고

と、元康の顔を仰いだ。

元康は、岸へ立つと、すぐ人眼を惧れるもののように、

「舟のうちで、申した以外に、言伝はない。はよう行け」

顎で促してから、ふと、

「国もとの年よりどもへは、元康は丈夫でおる、風邪ひとつひかぬと、伝えてくれよ」

と、いって、ひとり邸のほうへ、帰って行った。

さっきから築土の外に佇んで、遠方近方を見ていた侍女は、河原から帰って来た元康のすがたを見ると、

「奥方様が、何やらお待ちかねでございまする。お探し申して来やいと、幾度も、きつうお焦れ遊ばして」

と、元康へは、云い難そうな顔をしながらも、当惑そうに告げた。

「あ。そうか」

元康はうなずいて、

「今すぐ参ると、そち達で、宥めておいておくりゃれ」

と、自分の部屋へはいった。

座につくと、そこには家臣の榊原平七忠正が来て、待っていた。

「河原へでも、お散歩でございましたか」

「ム。徒然にな。――なんじゃ、何か用か」

「お使いでござりました」

「誰方から」

平七は、答えずに、黙って書面をそれへさし出した。雪斎和尚からである。

元康は、封を切る前に、押しいただいた。太原雪斎和尚は、今川家にすれば、黒衣の軍師であり、元康にとっては、幼少から薫陶をうけた学問兵法の師であった。