후리가나로 읽는 일본 고전
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
吉川 英治의 新書太閤記(しんしょたいこうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 185,353자 · 371화면
中村の田にある百姓たちの顔が一つ一つ頭に泛んでくる。松下嘉兵衛はどうしたろうなどとその後を思う。また、垢じみた白木綿の旅衣一枚で歩いていたあの頃の自分が眼に見えてくる。
「勿体ない」
急に、彼は坐り直して、今日の恩を、改めて考えた。
君恩に報おうと思う。
天地の恩に酬えねばならぬと知る。
――が、なお黙然と、廂ごしに空を見ていた。するとふと、彼の頭のうちにも、一片の雲みたいな想念が泛んだ。先頃伊勢陣でつぶさにその働きを見た明智光秀という人物への聯想である。
その人間のことは、時々、思い出すのである。深く感心しているからであった。
「たしかに傑出している。織田家の中では、あの新しい知識はわけても光っている」
今もそう思うことに変りはなかった。けれど、光秀の頭脳には感服しても、その人間まで好きにはなれなかった。主君の信長と光秀とは、性格的にも、近いものがあるやに思われるが、自分と彼とは、いつまでも、親しくなれない人間のような気がした。
「オ……。お独りで」
そこへ妻の寧子が見えた。
寧子は黙想に耽っている良人の側へ、おそるおそる坐って、そっとたずねた。
「なんぞ、御思案でもしていらっしゃいましたか」