후리가나로 읽는 일본 고전
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
吉川 英治의 新書太閤記(しんしょたいこうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 176,911자 · 353화면
もう人を恃みにはしないつもりです」
彼女はその堤づたいに、さッさと上流の方へ歩み去ってしまった。すぐ彼方の加納の渡しを越えると、わずか一里にして北方郷となり、彼女のふるさとの小野の里は長良街道の山ぞいにあった。
渡し舟を見出すと、於通は足をとめてふりむいた。友松の影が遠くに小さく、まだ佇立したまま自分の方を見ていた。唖然とした友松の顔つきがおもい出され、彼女はなんとなくおかしくてならなかった。笑いながら、笠を振った。彼方の友松は手も振らない。棹を立てたようにいつまでもじッとしている姿だった。
渡しの中には四、五人の旅行者や里人が先に乗っていた。於通もその中に交じり、もういちど下流の堤をふり向いた。どこへ立ち去ったか。友松の影はもう見あたらない。
彼女にとっては、それも過去へよぎった鳥の一影でしかない。一年余り養われた菩提山下の草庵も、きのうまでかしずいていた松琴尼も、過去すべて彼女の今のこころを振りかえらすには何の魅力もないものばかりだった。ゆくての夢のみが彼女の胸には春の野のように匂い拡がっている。舟べりを洗う水の音も、空にかすむ雲雀のねも、自分の勇気と希望の門出を祝福するためにあるもののような心地だった。