후리가나로 읽는 일본 고전
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
吉川 英治의 新書太閤記(しんしょたいこうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 176,911자 · 353화면
そのとき彼の眉にはもう日頃に見る気色しかなかった。ゆったりとした腹中にその損失を償うて余りある或る成算がすでにできたかのような感を周囲の旗本にもいだかせた。旗本たちは激越な口調で、勝入父子の忘恩をいったり、その奇襲戦法の卑劣を罵ッたりして、あすの戦場において思い知らすべきことを口々に云いやまなかったが、家康は、それらの声をも、大きな耳たぶの外に聞き流しながらいまはべつなことでも考えているらしく、ひとりニヤニヤ笑顔をたたえながら、もとの清洲へ馬を向けていた。
だいぶおくれて、清洲を出て来た信雄と、直属の軍隊とには、その途中でぶつかった。
信雄は、引っ返してきた家康の姿を、さも、意外そうにながめて、
「犬山には、別条もなかったのですか」
と、たずねた。
家康が答える前に、家康のうしろの旗本たちの間で笑い声が聞えた。が、家康は、信雄にたいして、その理由を説明するのに、実に、懇切と鄭重を極めた。
真相を知って、信雄は悄げ返った。家康は、馬をならべて、その肩をたたき、
「中将どの。何も御心配はありません。こちらに一失あれば、秀吉にも、より大きな一失がある。――彼方を御覧ぜよ」